
一週間かけてSulaniの住人に認めてもらい、ケイトはやっと臨時アルバイトを始めることができました。生まれがSulaniでないシムは商売をするためにヤードセールを開かなければならないのです。そのテーブルを買うためにケイトは一所懸命臨時アルバイトを頑張って400シムオリオンを貯めました。いつもだったら湯水のように消えていくシムオリオンを手に入れるために三日もかかってしまいます。
「やっと手に入った、これで物が売れるんだね?」

孤島でぽつんとヤードセールを始めるケイト。誰も来てくれないんじゃないかと不安でしたが、Sulaniの住人はケイトの売るものを買っていってくれました。ケイトはきっといま困っているだろうから、と色を付けてくれたのです。

家と呼ぶにはあまりにも小さい、小屋と言って差し支えない家が完成しました。ケイトは大喜びです。もう腐った食べ物を食べなくてもいいし、シャワーのために滝へ行かなくてもよくなり、公衆トイレを使う必要もなく、二時間おきに目覚めることもないのです。この家は電気や水が通っていないため夜はとても暗いですが、キャンドルを灯して過ごすことにしました。水は海があるので問題ありません。

翌日、仲良しのオリアナから「Sulaniの住人として認められるには自然体でいられるシムでないといけない」と教えられたケイト。San Myshunoに帰るあてもないのでSulaniの住人として認めてもらうほかありません。まずはココナッツをそのままガブリ。
「ガーデニングってやったことなかったけど、意外と楽しいかも。でもココナッツの味は微妙だね」

冷蔵庫を手に入れたので料理をすることもできるようになりました。しかしケイトは両親が料理人だったので、生まれてこの方一度も料理なんてしたことがありません。フルーツサラダをひとつ作るのにも指を切ってしまいました。ケイトは大食いなのでサラダがいくつあっても足りません。もっと料理を上手くできるようにならなくちゃと心に誓うのでした。

ヤードセールを続けていると、シムオリオンが貯まってきました。ケイトは知らなかったのですがアウトリガーカヌーがあればムア・ペラム以外の場所にも移動できるそうなのです。
「そもそもSulaniにムア・ペラム以外の区画があることを知らなかった。これがあれば遠いところにも移動できるってことだね」
ケイトは早速アウトリガーカヌーを購入しました。

娯楽がほとんどない暮らしでケイトは疲弊していましたが、カヌーはとても楽しくてつい時間を忘れてしまうほどでした。美しい風景につい見惚れてしまいます。

臨時アルバイトでフリーダイビングの依頼を受けたケイトは、フリーダイビングの楽しさにも気付きます。スーツは高かったのですが楽しさを回復するにはうってつけで、アルバイト以外でもダイビングをするようになりました。ついでにお宝を探せばヤードセールで売るものも見つけられます。Sulani暮らしももう二週間が経ち、ケイトは少し元気になっていました。

リリアナはケイトの面倒をよく見てくれます。本人も小さな子供がいるのに頭が下がる思いです。やっと元気になってきましたが、ケイトはリリアナの前だとつい弱音を吐いてしまうようでした。
「ずっと両親や仲閒たちと暮らしていたから一人が寂しい。早くSan Myshunoに帰りたい」
「かわいそうに。もうムア・ペラムを動けるんでしょう?耐えきれなくなったらうちへいらっしゃい。家族みんなで歓迎するわ」
そう言われてケイトはアパルトマンの鍵を仲閒たちに渡していたことを思い出します。

「ありがとう。リリアナこそよければいつでも遊びに来て。なんにもない家だけど」
「まぁ、いいの?ありがたくもらうわ」
リリアナは優しくてあたたかくてSulaniを象徴するようなシムです。漂流した日にリリアナと出会えたことはケイトにとって僥倖でした。

「Sulaniは無人島じゃないし文明も発達しているから全然違うのは判っているんだけど、なんだかキャスト・アウェイみたい。早くSan Myshunoに帰ってみんなと朝まで騒ぎたいな……」
ファイアーダンスを教えてもらったケイトは早速ひとりで練習をしていました。パチパチと炎の燃える音が静かなキーポイントに響きます。Sulaniにはもうすぐ冬が訪れようとしていました。
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